後編「忍術村と300年ばばあ編」
当初の目的地は伊勢、志摩、または鳥羽という感じで三重県あたりは決定してるけど
細かい事は全然きめてなかった。その結果西名阪道路を走ってる最中に
「あ。琵琶湖もいいねえ」という無茶な意見が通り、滋賀県、琵琶湖方面へ。
あいかわらずの素晴らしいナビゲーションシステムで超こわい池や怪しい山道を通らされた。そりゃあね、出発が夕方でしたから。ついた時には夜の琵琶湖。
ひとしきり遊んでとりあえずビールでものむ
結局、翌日向かったのは伊賀におそらくあると思われる『忍者村』。
とにかく伊賀方面に向かう一行だったが、本当にあるかどうかわからんうえにナビが
調子悪くて辿り着けない。途中いのしし丼など食い、霧につつまれた美しい公園などに出会った。伊賀に着く頃、復活したナビで検索し直してみるとなんと伊賀ではなく甲賀に『甲賀忍術村』なるものがある事を発見。
Uターンして約1時間ほど戻った頃、僕らの目の前にあったのは
ありえないくらいボロい忍術村の門だった。
しかも雨降ってるし。
その状況+『下馬』と書いた駐車場の立て札が僕らの好奇心を一層駆り立てる。
入り口のお兄さんがまた奇怪な人物で彼の
「ほ、本物の忍者が使用していた道具なども…あ、ありますよ。ほんとうに人を殺したものもあるかも…しれませんよグフフフ…」というセリフが頭から離れない。
きっと忍者服とか道具とかにしか興奮できない変態だと思う
忍者屋敷の仕掛けは本当にすごかった。バッシュをはいて、変な喋り方のこれまた変な忍者が案内してくれたんだけど、とある部屋に入った瞬間「実はもうみなさん、罠にはまっているんですよ。」と言うのだ。なんとロープを切ればたちまち天井が落ちてくるのだそう。そのほかにも、どんでん返しや、抜け井戸とか掛け軸の裏の抜け穴とか隠し階段とかがあり、多分あの受付のお兄さんみたいな変態はよだれをだらだら垂らして喜ぶだろうなあと思った。屋敷を出た後、僕は池に沈んだ。
売店のおばさんもおかしな人で、「タイ人」は英語でなんと言うのかというのをしきりに気にしていた。そこの売店でF(わたし)が忍者の貸衣装を借りる事になったんだけど「案内します」といって出て来たのはなんとついさっき忍者屋敷を案内してくれた人で何故か軍ものの迷彩服を着ていて思わず吹き出した。
(後でF(わたし)に聞いた話ではその人は忍者の格好についてもかなりこだわりがあったらしい。たぶん変態だ。)
それからは忍者の修行場へと移る。
石の壁を登ったり(忍者(わたし)は登れなかった。)
塀を乗り越えたり(忍者(わたし)は乗り越えられなかった)
壁をつたって歩いたり(忍者(わたし)は方向を間違えた)
それでも優秀なくのいちであるF(わたし)は新しい試練が待ち受ける度に
「ここは忍者にまかせろ」と張り切っていた。
あー、しかしなんとシュールなテーマパークだろうか。
子供が楽しめるゴーカートや射的場(つぶれてる)
開放感溢れるビアガーデン(つぶれてる)
おいしいうどんやさん(つぶれてる)
第一、テーマパークなのにも関わらず敵の襲撃にあわないように人目につかない
山中に場所を構えるという本格ぶり。こんな忠実な忍者村が他にあるだろうか。
メインディッシュの手裏剣道場は一見つぶれたぼろぼろの廃屋だったが、
困惑する我々の背後にまったく気配を感じさせず、一人の老婆が現れた。
ドキーッ!何者だー。「いらっしゃい、手裏剣やるかい?」
このおばあさん何者だ…。
しかももはや忍者と関係なくカッポウ着を着ている。
しかしなんとまあかわいらしい顔したおばあさんだこと。
と思ってる矢先F(わたし)は男の子と間違われていた、くくく…。
手裏剣投げについては予想のとおり僕がダントツの一番でうまかった。
ふたりは力があまりないというのもあってひょろひょろの手裏剣で
一個も的にささらなかった。
おばあさんはその後忍者のまめ知識をたくさん話してくれた。
「ふふふ、おばあも今はこんなんだが300年前はぴちぴちの美人じゃったよ」
なんて、なかなか面白いおもしろいおばあちゃんじゃあないかと思っていたが…
そう、この人なんかおかしいなと思っていたんだけどF(わたし)に
「お嬢ちゃんは何年生?(なんと小学生と思われていた!けけけ!)」
と聞いたあたりから予感は確信に変わっていった。
F(わたし)が子供という事はもちろん僕とTは夫婦だと思われていたし、
なんか戦争の話とかしだすし、どう見てもずっと前から壊れてる綱渡りのロープを
掴んで飛ぼうとして「あれ〜昨日は動いたのに」とか言い出したり。
まあようするに老人特有のあれなんだけど、でもボケててもこんなに魅力があるっていうのは素敵な事だなって思った。
あ〜、面白かった。何回思い出しても変人しかいない 笑
シュールテーマパークのランキングがあるとしたら
間違いなく上位入賞は間違いない!ここはおすすめです。
今回は思い返してみるとなにかとF(わたし)がやらかしてくれました。
ちなみに彼女はミス・くのいちコンテストに出ないかと誘われていたようだ。
帰りは天理で屋台のラーメン食べて帰った。
後編です。まるまる引用です。ドロン(煙にまぎれて)