小さい時はザラメが付いた大きなあめ玉がわたしの万能薬だった。
頬が痛くなるくらい膨らんで、ザラメが溶けてつるっとしてくる頃には
心は復活して、下手なスキップで調子良く走り回っていた。冒険が好きで、
多分、正しい言い方をするならばちょっとした散歩くらいのものなんだろうけど
よく冒険に旅立った。1時間とか、45分くらいの冒険だった。
あぜ道に花が咲いていたり、川の水が流れているのを見て、
「ああ、あぜみちにはながさいている」「かわのみずはながれている」
すくないボキャブラリーの中だから、たぶんそんな風にしか表現できなかったし
今の方が楽しく色々な事を考えられる。
でもあの時の「なんでもきくくすり」はもう今のわたしには効かない。