私は自慢じゃないけど、人に「真面目だね〜」と言われたことがない。
宿題なんてやらないし、適当で、いいかげんで、
嫌なことからは喜んで逃げ出す。
愛嬌と要領の良さでなんとかやってきた。
姉は努力の人で、私とは性格も性質も違う。
いいなぁ。と、私はずっと嫉妬してきたのだけど
最近、自分で本当に良かったと思うようになった。
姉のように生きたら、私は髪が抜け腰が抜け歯も抜ける自信がある。
姉と姉の友達とで撮ったプリクラを見たら、他の友達は変顔をしていたのにも
かかわらず、姉だけはばっちり可愛い決め顔で写っている。
そのときはあまりの面白さに爆笑を抑えられなかった。
そして「私はこういう風には生きられない」そう確信するに至った。
ついこの間、正月に実家に帰った際に、私は(一才半しか離れていない)姉に
お年玉をちゃっかり要求し、三万円もの大金を手にし、喜びのあまり
「うっほ〜」とか言いながら不細工に鼻の穴を膨らませた。
姉はそんな私にも慈愛に満ちた表情でお釈迦様の如く微笑んでいた。
小さい子にありがちな妄想なのだが、私は幼い頃、両親がもしも死んでしまったら。
という悪夢に夜な夜なうなされた。そんな私の妄想が行き着くところは
「姉がいるから、大丈夫」という根拠のない自信であった。
今おもうと、一才半しか年の離れていない姉である。
私が小さかったら、姉も同じく紛れもないちびっ子である。
しかし、私の記憶の中には、いつでも大人風情の姉がそこにいる。
小さい時のエピソードといえば、
母の大事にしている物を私が壊してしまった時のこと。
「あーちゃん、、、壊しちゃった。あーちゃんが壊したことにして。おねがい」
私は至極しおらしく、泣きそうな顔で言ったという。
仕方なく、あーちゃん(姉)は母に自分がやったと言うのだった。
すると、私は、今度は叱られている姉に向かって
「あー、あーちゃんが壊したの? 悪いねー わるいんだー おこられてるー」
そう、嬉しそうに周りを飛び跳ねるのでありました。
三つ子の魂 百までも とはよく言ったものです。
今でも、私と姉の関係は、良くも悪くもそんな感じです。
姉を尊敬しつつ、私はこれからも姉とは正反対に生きるのでしょう。