わたしは逃げ足に自信がある。もしものときは、すたこらさっさー。と
猫だけ抱いて逃げるつもりだ。いつでもそう思っている。わたしには車があるし。
もしものときという妄想は、化け物だとか鬼婆だとか頬に傷のあるサングラスした
男の人だとかが家に来るとかいう、いつもわりと現実味のないものなんだけど。
そのときの逃げ道の確保(鍵をかけておいて、さすがにすぐ蹴破りはしないだろから、ドアをガチャガチャして手間取る。私はトイレの水を流しっぱなしにして、まだトイレにいますよーと思わせておいて、こんにちわー、開けて下さいなーという猫なで声を聞きながら、車の鍵と携帯電話をポケットに入れて猫達を両脇に抱え、後ろの掃出しからそうっと出る。)は現実的だ。
そういうことを考えるとドキドキして、心臓が口から出そうだ。